紅龍は京都府京都市にお住まいの山田氏によって手掛けられた品種の1つです。
山田氏はバラのように鮮烈で濃厚な赤の発色を求めて選別を繰り返し、美しい赤の発色をした「紅観音」という品種を作った方でもあります。
そういう事もあって、「観音めだか」の屋号を持っています。
そんな山田氏が紅龍を作りあげるキッカケとなったのは「乙姫」と「紅薊」を交配して生まれたメダカを見た事でした。
赤い発色にブラックリムの黒い色彩を見た時に、「龍を表現したメダカを作ろう」と思い立ったそうです。
その後、自らが生み出した「紅観音」と「乙姫」、「紅薊」を交配させて生まれたメダカを掛け合わせ、そこから生まれたメダカを更に交配させました。
そうして生まれたF2個体に再び紅観音を掛け戻して生まれたのが「紅龍」なのです。
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紅龍の特徴
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— 赤木メダカ (@akagi_medaka) March 25, 2020
紅龍は濃厚な赤色に黒煙のように浮き出たブラックリムが特徴の品種です。
その美しさは火山から溢れる溶岩のような荘厳さがあります。
作出した山田氏によると紅龍には「定義」があり、その定義によれば、
- 「濃厚な赤と青系の墨黒」の2色
- 体は基本的には墨黒
- 背中に濃い赤色の筋が通った表現
- 各ヒレにしっかりと赤色がのっている
- 丹頂表現
の他、体型は「普通体型」と「光体型」の2種類とされています。
しかし、山田氏曰く普通体型の方が趣向に合っているようで、普通体型のメダカを多く改良しているそうです。
また、紅龍を作出する過程で誕生したメダカもおり、赤、黒の他に白の3色を表現したものは「紅龍錦」という品種になっています。
紅龍が生まれる確率
実は紅龍、固定化されていない品種でもあります。
そのため紅龍同士を掛け合わせても生まれてくる全てのメダカが紅龍とは限らないのです。
しかし、紅龍同士を掛け合わせる事で紅龍、紅観音の表現が強い個体、不思議で珍しい表現の個体が生まれてきます。
つまり、紅龍がたくさん生まれる訳ではないけれど、ロマン溢れる個体が生まれる可能性も高いというワクワクがつまっている品種なのです。
紅龍の飼育は難しい?
メダカなので飼育自体は簡単なのですが、よくペットショップやホームセンター等で売られているヒメダカのような感覚で飼育してしまうと、せっかくの赤みが抜けてしまい、何とも拍子抜けな見た目になってしまうと言われています。
また、紅龍に限った事ではありませんが、水温の急変に弱い面があるため注意が必要です。
そんな紅龍の飼育のポイントを簡単にまとめてみました。
紅龍飼育その1・黒色の容器で飼育しよう!
紅龍のように赤や黒が強く発色している品種は明るい環境や白色の容器で飼育すると色が飛んでしまいます。
これは体に保護色の働きがあるためで、明るい環境では明るい色、暗い環境では暗い色になります。
この事から、紅龍の飼育には体色の維持のためにも黒色の容器が向いています。
紅龍飼育その2・水質、水温の急変を防ごう!
メダカは水質、水温の急変に弱いため、それを防ぐ工夫が必要です。
その中でもトロ舟以外にも飼育容器として使われているのが「大きめの発泡スチロールの容器」です。
発泡スチロールの容器は水温の変化を穏やかにする効果があり、寒い時期でも水温をある程度保ってくれます。
また、容量が大きければそれだけ水を入れられるので、水質の変化や悪化の抑制に繋がります。
最近では発泡スチロール製のメダカ飼育容器も販売されているので飼育の際に是非ご活用してみてください。
紅龍飼育その3・飼育環境を整えよう!
しっかりと管理された環境で生まれた紅龍は、飼育環境にも気を遣わなければ体色も褪せてしまいます。
そのため、飼育容器の底面にメダカ飼育用のソイルを敷いたり濾過バクテリアを添加する事で更に飼育環境をグレードアップしましょう。
また、アナカリスやマツモ等の水草にも水質の浄化作用があり、メダカ達の隠れ家にもなってくれます。
ちなみにメダカは中性〜弱アルカリ性の水質を好んでいる魚です。
飼育容器の中に粗目のサンゴ砂やカキ殻等をネットに包んだ物を入れる事で水質を弱アルカリ性に傾ける事ができるので、水質維持のためにも是非お試しください。
紅龍の固定率
固定されていない品種である紅龍ですが、どんな親魚と掛け合わせたかによって生まれてくるメダカも大分変わってきます。
紅龍同士に掛け合わせでは、生まれてくるメダカの割合が紅龍が約50%、紅観音の表現が強い個体が約40%弱、珍しい表現が約10%だとされています。
この生まれてきたメダカを選別する事で固定率は上がってきますが、長い時間がかかるので気長に、着々と進めていきましょう。
まとめ
今回は小さな赤い龍、紅龍メダカについてご紹介いたしました。
体は確かに小さいですが、本気の発色を見せた紅龍の姿は非常に見応えがあり、いつまでも眺めていたくなる美しさです。
アジアアロワナにも「紅龍」と呼ばれる品種がいますが、紅龍メダカの発色はハイレベルな紅龍アジアアロワナに勝るとも劣らない力強さがあります。
また、一匹一匹の色彩に違いもある事からそういういった個性が楽しめる事も紅龍の魅力の1つです。
飼育環境に少し気を遣いますが、彼らは確実に大事にしてもらった分美しくなります。
そして、鮮やかな龍の舞を元気に見せてくれる事でしょう。気になる方は是非、紅龍を迎え入れ、実際にその美しさを堪能してください。